TL;DR
この記事の結論
- Qlib は Microsoft の AI 量化投資プラットフォーム(MIT・スター5万超)で、データ整備から学習、検証、発注までを一気通貫で扱う。
- pandas-ta が「指標計算の部品」なら、Qlib は検証プロセス全体の「工場ライン」。役割が違う。
- 公式サンプルは中国市場が中心で、日本株や FX に使うにはデータ整備が最初の関門になる。
※この記事は、AI で市場データを学習・検証するための OSS「Qlib」の概要を整理した学習記録で、投資助言ではありません。
Qlib とは
- Microsoft が公開するオープンソースの AI 量化投資プラットフォーム(MIT ライセンス、2020年公開)
- GitHub スターは5万超(2026-11-08 時点)で、現在も活発に開発が続いている
- 教師あり学習、市場環境の変化への適応、強化学習(注文執行)まで、複数の学習パラダイムに対応
- LightGBM から LSTM・Transformer 系まで、モデルを差し替えて実験できる「モデル動物園」が付属
できること(パイプラインの流れ)
- データ取得・整備: Yahoo Finance などから取得するスクリプトが付属
- 特徴量生成: Alpha158 / Alpha360 という定番の特徴量セットが組み込み
- モデル学習: 学習・検証・テストの期間を分けて評価する作法が前提になっている
- バックテスト: 手数料などを含めたシミュレーションと、IC(予測精度)や累積リターンの分析
- その先: ポートフォリオ最適化や、モデルの定期再学習を回す運用モードも想定されている
始め方
- pip install pyqlib(Python 3.8〜3.12 対応、conda 環境が推奨)
- 公式クイックスタートは「データ準備 → qrun で LightGBM を実行」が最短コース
- 公式データは中国市場(CSI300/500)が中心。米国市場向けには Yahoo Finance 経由の取得スクリプトがある
日本の個人が触るときの現実
- 日本株で使うには、価格データを Qlib の形式に整える自前作業が必要で、ここが一番の手間
- 主戦場は株式の日次データ。FX のティックや分足でそのまま使う設計ではない
- 「AI が勝てる戦略を自動で作ってくれる」ものではなく、学習と評価の土台を提供するものと理解するのが正確
- 近年の展開として、LLM エージェント(RD-Agent)がファクター探索やモデル改善を自動で回す連携も進んでいる
注意点
- バックテストの成績は過学習で簡単に良く見えます。期間を分けた検証(アウトオブサンプル)が前提です
- データの取り方次第で未来の情報が混入するリークも起きうるため、整備工程こそが品質を決めます
- 本記事は特定の売買や戦略を推奨するものではありません
次回予告
次回は自動売買ボットの Freqtrade を扱う予定です。
出典: microsoft/qlib(GitHub、2026-11-08 確認)